シズレクは父のセトマル王の隣の高座に腰掛け、彼の同志らや同等の地位の者たちは彼の元にいた。ヘイミルはこの日、彼の食事や飲み物を給仕した。ヘイミルが一人で黄金の杯を運び、シズレクの前でよく給仕した。シズレクは剣のナグルフリングを抜き、仲間に見せて話し掛けた。
「我が名剣のナグルフリング、お前はベルンを出発してから多くの苦難を切り抜けさせた。そしてこれより先、お前以上のものは手に入らぬだろう。手を止めて見よ、ヘイミル。私は決して貴殿以上にこの剣をうまく扱える者は見たことがない。名戦士よ、これを受け取り、うまく使いこなすのだ。」
ヘイミルはナグルフリングを受け取り、うやうやしくありがたく礼を申し述べた。その場には多くの者達がおり、彼らはヘイミルへの領主シズレクの善行に感謝した。
「ナグルフリング、お前は確かに悪い終末になるだろう。それは今お前を持っている者以上に勇敢なる者の武器になるのが良いからだ。私はベルンに到着してから、価値ある貴殿の助けを受けたこともないし、婦人のそれ以上の支援も受けたことがない。これは我らが5名の屈強な戦士を追いかけたあの日の勇敢なる行いの数々は目の当たりにしたのだが、貴殿は離れていたな。貴殿は完全武装で馬に跨り、助けるために近寄りもしなかった。ホルンボギ伯とヒルディブランドは川を渡っていたので助けに近づくことができなかった。伯が私を助けた時、貴殿の手助けは必要ではなかった。いつかこの報いをするだろう。」とヴィズガが言った。
「危機に仲間の助けが望めぬのは大きな屈辱で悪行だな。惨めな野良犬(inn illi
hundr)め。私の目の届かぬところへ行け。今日、ベルンの前で吊り下げられなくば、それが相応しかろう。」とシズレクが言った。
ヘイミルは森を抜けて北へ出発し、彼は数日間知らない道を馬で進んだ。彼は以前のように喜ばしい事をするための身の振り方が判らなかった。彼は大騎士であり大戦士であり、ずっと森に暮らすイングラム(Ingram)という男の話を耳にした。彼はいつもファルストルスコーグ(Falstraskógr)という森におり、彼のもとには10名の仲間がいた。ファルストルスコーグはサクソランドとデンマークの間にある。イングラムはサクソランドの公の敵であった。彼はできるだけ彼に害をなし、誰も自由にこの森を旅できないようにしていた。彼は強くて力ある者で大戦士で、彼は12名の戦士をたやすく打ち負かすのであった。
ヘイミルはこのイングラムを探そうと決心し、彼とその仲間を見つけるまで足を止めなかった。彼は彼らの軍団(sveit)に入ることを申し出、彼らは快く受け入れた。彼はこのこの軍団の12番目のものであった。彼らは森に始終留まり、たくさんの害をなしたのであった。
サクソランドからデンマークへ向かう商人達(kaupmenn)がいた。彼らはたくさんの価値ある物を持っていた。彼らには60名以上の仲間がいた。皆武装していた。金品を盗まれないようにとの意図からであった。彼らは数頭の名馬と荷のたくさんの財宝を持っていた。彼らはファルストルスコーグまで旅をしていた。
盗賊達(sakmenn)が彼らに気づき、話し合った。いくら大軍団とはいえ、たくさんのお金を得れるので襲うとの話し合いであった。彼らは馬で向かい、攻撃するつもりであった。
それから彼らは武装して、馬で商人団に向かっていった。商人らが敵に気づき、馬を降りて剣を抜き、槍の穂先を向けた。これは彼らが盾をもっていなかったからである。大乱闘になり、殺戮になり、イングラムが味方の損失なく勝利を手にいれるまでそう長い時間は必要ではなかった。彼らは60名皆殺しにするまで手を止めなかった。彼らはお金と馬を手にいれた。彼らは機嫌よく、以前より立派で名声を馳せたと思った。彼らは決して圧倒的多数で戦うことに遭遇しないだろうと考えていた。彼らは大きな問題が起こったと感じ、ヘイミルは以前より勇敢になったと思った。彼らはそこに長らくいたのであった。
デンマークのスカニアにビチュルールヴ(Biturúlfr)という男がいた。彼は強い者であった。彼は今はツッマソルプ(Tummaþorp)という場所に住んでいた。彼の妻はオダ(Oda)といった。彼女はサクソランド伯の娘(dóttir jarls af Saxlandi)であった。彼らには1人の息子がいた。彼の名はセートレイヴ(Þéttleifr)と言った。ビチュルールヴはデンマーク全土において大戦士で、ベルセルク(allra kappa mestr ok berserkja)であった。彼の息子は若くて背が高かった。彼は父の目を外れて台所(steikarahús)で過ごしたり、技を習得したり、首領に奉仕したりしていたので、振る舞いや礼儀は親譲りでなかった。これゆえに父からも母からも大事にされなかった。彼らは彼のことを見くびり、愚か者(fól)であると考えていた。乗馬(hesta riðna)、槍投げ(spjótum skotit)、剣さばき(sverðum skylmt)、投石(steini orpit)を目にしており、もし興味があれば学びとっていただろう。彼は若い頃ませてはいなかったので、このような事柄に興味を持つなどとは誰も思わなかった。必要であったとしても、彼は髪をくしけずることや、風呂を嫌った。彼は身づくろいに興味がなく、台所の灰かすの中で横になり、台所使用人や乞食と走り回っていた。
ビチュルールヴが妻や全ての家来達と共に宴(veizlu)に招待された。宴はヴェトランド州(Vetlandsherað)のウールヴ・ソータソン(Úlfs
Sótasonar)により行われた。
ビチュルールヴと彼の家来達は旅の準備をした。セートレイヴはこれに気づいた。彼は父と宴に行こうと思った。彼は台所で立ちあがって灰を払い、髪を梳かして母のいる部屋へ行った。
「母ちゃん、宴に行くんだね。」と彼は言った。
「そうだよ。だがおばかなお前が何の用だい?」と彼女は言った。
彼は宴について行きたいと答えた。
「なんでお前が宴に行くんだい?お前は馬鹿で、身内から疎んじられている。お前は12ヶ月先まで台所でねっころがっときな。そうすりゃ私の目には入らないさ。お前はずっと身分の高い者達のそばには行けないのさ。お前は血族ともちっとも似ていないし、一緒に来ることなんかできないよ。」と彼女は答えた。
「何で?母ちゃんは僕がどこいっても喜ばないね。慰めずに憎まれ口をたたくし。どうしても行かせないっても、行くよ。」とセートレイヴが言った。
父のいる館に行き、彼は話し掛けた。
「父ちゃんと一緒に宴に行くよ。馬と武具をおくれ。」
「なんでお前が勇敢な者達と一緒に宴に行くんだ?もしお前のような馬鹿がたくさんの立派な息子達と一緒に行けば、かっこ悪いし面目ない。宴では若くて勇敢な男達がいるし、お前のように誰も鶏やガチョウを焼いたり、米を似たり、炉の火加減を見たりしてない。お前は血族にちっとも似ていない。あえて言っとくが、お前はちっとも私の若い頃に似ていないので、お前を息子とは思っちゃいない。」とビチュルールヴが答えた。
「僕は自分のことなんて知らないよ。たった一つを除いてね。それは父ちゃんの息子だということ。みんな言っているよ。もし違うってのなら、母ちゃんにでも聞いてよ。父ちゃんの子ではなくて他の子ってのはおかしいね。たとえ貧しい村の子だったら、もっとみんなから相手にされないよ。みんなが言うように母ちゃんの血筋を調べないなら、母ちゃんより低い身分の血筋だってのならそうかもしれないね。父ちゃんは母ちゃんがみだらだと疑ってるでしょ。もし母ちゃんに強くて立派な血族があれば、父ちゃんの非難は彼らに失礼だよ。もし僕が悪い子ってのと同じように男らしいってのなら、こんな疑いはどっかいっちゃうけどね。」とセートレイヴが答えた。
「ばか者、だまれ。台所に戻って、灰の中で寝てろ。あいつはそんな女じゃない。お前は私の子だが、馬鹿だ。」とビチュルールヴが言った。
「母ちゃんも父ちゃんも僕の面倒をみても、僕の成長っぷりに気にもとめなかったね。それは父ちゃんがちっとも愛してくれないし、大事にしてくれなかったからだ。父ちゃん僕の旅を決めなくちゃいけないね。もし相応しいって思うなら許して。認めなかったり、僕に恥をかかせるなら、行くってだけさ。」とセートレイヴが答えた。
彼は中庭(garðinn)に行き、父親所有の鞍のついている最良の馬の背に飛び乗り、父のビチュルールヴが住むツッマソルプ近くに住む一人の農夫(bónda)のところへ行った。彼は農夫に武器を貸してくれるように頼み、武装して家路に就いた。これは海峡が南のユトランドまでの道全てが凍りついた真冬に行われた。だから物品は農場から農場へ、屋敷から屋敷へと荷車で運ぶことができた。彼は帰宅し、父は許しなしに彼が行こうとしていると判った。彼はもう妨げないでおこうとした。もしセートレイヴがかっこ悪く家から行けば、恥となるとも思い、皆は彼にきっちりとした身なりで行くように助言した。
父は彼にいい武具を与え、母はいい衣類を持たせた。この後、彼は風呂場に行き、入浴して櫛けずった。それからおめかしして、武具を着けた。そして彼の姿を見た者達は皆、彼は最も勇敢な者といった。彼の両血筋は優秀なのでそう驚くことでもないとも言ったのであった。この後、彼は馬のところへ行き、堂々と騎乗した。それから父と母と共に宴に向かった。
宴の間、セートレイヴはきわめて立派に振る舞い、いつもこうしてきたかのようにしていた。3日が過ぎ、終宴となった。ビチュルールヴの妻のオダは家に戻り、家来達は皆一緒に戻った。しかし父が他の宴に行き、息子のセートレイヴはそれについて行った。彼らは宴が続く限りはその宴で過ごしていた。彼らがそこから家路につき、ファルストルスコーグを抜けて行くことになった。彼らは森の近くにまできて、意志に関係なく森を抜けなければならなかった。彼らは馬で近づいた時、12名の泥棒が彼らに近づいてきた。それはイングラムとその仲間であった。
「お前が母と共に家路についたらよかったのに。私はたった一人ででもこんなやつら12名なんて怖くはない。なんせお前は若くて子供だからなぁ。」とビチュルールヴは息子のセートレイヴに話し掛けた。
「心配しているの?そうだね僕らは馬を降りて、背中合わせにして立つんだ。もし僕自身を守れなければ、二度と僕を息子と言わないで。家を出る前に父ちゃんが言った事を本当かどうか判るよ。僕が正当な血筋か、こんな奴らを怖がるような血筋か判るよ。」とセートレイヴが言った。
それから彼らは馬から飛び降りて、両者は剣を抜いたのであった。
ヘイミルはイングラムとその仲間をその日、見張りつづけ、彼は彼らのもとに戻って報告した。
「2人の男がここに馬できて、強い鋲で打った黒い兜(svarta hjálma)を被っている。あんなに強固に作られた兜を作ったのは悪鬼に違いない。奴らは高貴な者でないとなれば戦士に違いない。十分に試した方がよかろう。」
「俺たちより強いという2名は何者だ。俺たちは最近60人をたった12人で倒したんだぞ。誰か5人で奴らの後を追い、武器と衣類をぶん取って殺害しろ。」とイングラムが言った。
5人の男達は彼らの後を馬で追ったが、父と息子は彼らを上手に勇敢に倒し、勇ましく戦った。終結は5人が命を落とし、ビチュルールヴと息子はまだ傷を負わないというものであった。
イングラムはその戦を見て、残りの家来達に行くように命じ、もし手遅れだとしてもできる限り手助けするように言った。今や長く激しい戦いが起こった。ビチュルールヴは勇敢にイングラムの兜を攻撃したのでそれは裂け、真っ二つになって地面に落ちた。セートレイヴはこの間に2名を殺害し、立っているヘイミル以外の盗賊全てが倒れるまで彼らの手は止まらなかった。ヘイミルは激しくビチュルールヴの兜に打ち付けたので、ビチュルールヴは大地に倒れて意識を失った。セートレイヴは父が倒れたのを見て、ヘイミルの兜を大きな怒りと共にぶちつけたので彼はひざまづいた。彼はすぐに飛び上がって馬に駆けより、背に飛び乗り、その日彼ができるだけのすばやさで走り去り、彼は命が助かったので喜んだ。彼らは多くの者達を助命したようにこの日、彼も助命した。ヘイミルが川まで来ると。馬は川を飛び越える大弩からの一撃の如く力強く飛び越えた。
川には碾き臼(mylnan)があり、粉を引いていたということである。ヘイミルは「かなくそになれ、かなくそになれ(slag,slag)」や「殺せ、殺せ(drep
drep)」と石(mylnuhjólin)から聞こえた。ヘイミルは老ビチュルールヴが跡を追ってきて、「打て、打て」や「殺せ、殺せ」と息子に話し掛けていると思った。ヘイミルは日中夜と駆け抜け、ベルンの家に到着するまで止まらなかった。彼はシズレクの前にかしずき、彼らは以前のように親友となり、彼は多くの功績を上げた。
ビチュルールヴとセートレイヴは目に付いた全てのお金と武器を手にいれた。彼らは家に戻り、大名声を得た。彼らはしばらく家で過ごしたのであった。
武器で腕っ節を証明したので、今やセートレイヴは大切な者とみなされ、母と父は彼に満足し、彼が立派になるであろうとの期待に満足していた。
セートレイヴは母と話していた。
「立派な衣装と高貴な装具を身にまとって、サクソランド伯の母方の祖父を訪ね、その後に他の者達に会いに出かけたり、他の血族の知人と知り会うために、行ったことのない地を訪れるつもりです。前より腕試しする者と出会えるかどうかも知りたい。」
母は望むがままにすればいいと言った。彼はまた父に外国に旅に出たいと言い、金銀財宝、よい武器や馬、立派な姿に映るような全てのものを父親から支度としてもらいたいといった。
「いい武器や馬や、お前が望む支度金を与えるのはたやすいことだ。だがお前にこの言葉を伝えよう。もしお前がユトランドを超えていくのであれば、遠くまで行け。控えめで、おごることなかれ。これは助言だ。もしお前がサクソランド中を遠くベルンに行き、セトマル王の息子のシズレクにお目通りをすれば、彼にあえて戦いや決闘を挑まぬことだ。お前は彼の大打に耐えられんだろう。彼の兜はヒルディグリームといい、どんな剣も食いつかん。彼の剣はエッキサックスといい、剣の中の剣だ。彼の馬はファールカという。馬は俊足で、どこにでも駆けてゆく。彼のもとには多くの名戦士がおり、お前は彼らと戦ってはならぬ。お前のおじさんの伯より遠くには行ってはならぬし、お前がサクソランドに順応したと思うまで留まり、それから帰路に就いてここに留まれ。ここでは厄介ごとがお前にはほとんどない。」とビチュルールヴが答えた。
セートレイヴは言いつけどおりにすると言った。
「もしお前がおじいさんのに会いに行くとボルガルスコーグ(Borgarskógr)という森に最初に到着するだろう。そこにはマルステイン(Marsteinn)という所があり、そこには城がある。お前は今までこんな美しい城を目にしたことがないし、この城で誰一人見つけることがないだろう。お前はそこですばらしい1脚の椅子を見つけ、その椅子にはルーズ金管楽器(lúðr)がかかっているのを見つけるだろう。お前がこのルーズを吹けば、城の所有者がすぐにやってくる。彼は我が親友のシグルズだ。もしお前が彼と会えば、お前は彼とわかるだろう。彼は大きくて年老いて、ハトのように白く、髪が長く、長い髭をたくわえている。もしお前が彼に会えば、彼が怒り出す前に自らの名と父の名をすぐに告げてのだ。もし彼がお前の家柄を知れば、歓迎されるだろう。たとえお前が12人力であっても、彼と戦う器ではない。」とビチュルールヴが続けた。
さて彼の旅の支度が整った。彼の父と母は彼の馬のところまでついてきて、よりよい助言を与えた。彼らは息子に寛容でいて、貧富を問わずすばらしい贈り物をするようにといい、さすれば皆から名評判が上がるであろうと言った。母は黄金の環を渡してこれを彼女の父の伯に挨拶として贈るといった。そして彼らは別れた。彼は母にお元気でと言い、母は別れを告げた。彼の父はやや離れたところまでついてきて、12マルクの黄金を与え、たくさんの事を息子に話した。彼らは互いに別れを告げて、父と息子は別れたのであった。
セートレイヴは教えてもらった森に到着するまで馬で駆けた。彼は城まで行き、父が言いつけたようにルーズを見つけた。彼はルーズを口につけて鳴らすと一人の男が象に乗ってやって来て、彼の風貌は父が口にしたようなものであったので、すぐにシグルズと判った。彼らが会った時、シグルズは許可なしにルーズを手にして吹いたのは誰かと訊ねた。
「私はヴィルディメルリク(Vildimelrikr)です。」と彼は答えた。
「わしが思うに、お前はツッマソルプの伯のビチュルールヴの息子であると思うがな。もしそうなら真実を話せ。」とシグルズが言った。」
「そんな男は知らない。」とセートレイヴが答えた。
彼らは互いに向かって飛び掛り、戦った。彼らはとても激しく長く戦ったが、シグルズが老齢であったのでしばらく休みを取った。
「もしお前がわしが言ったようにビチュルールヴの息子であれば、戦いは長引く。」とシグルズが言った。
「もし私が貴殿が言った者であれば、ずっと前に打ち明けているだろう。だが、私はその者ではないし、まだ腕試しをしたいし、分かれる前にどちらが勝利者になるか知りたい。」とセートレイヴが言った。
彼らは再び武器を手にして、最も勇敢に戦ったが、勝敗がつかなかった。彼らは日が傾くまで戦いをやめなかった。
「しばらく休戦としよう。わしは夜は戦いたくない。お前がわしと共に家に帰るのであれば、今宵の客人として、明日の夜明けにここに戻り、お前が決してわしに決闘を挑まぬように再決戦としようじゃないか。」とシグルズが言った。
セートレイヴはそうしたいと言った。こんな風にシグルズが言った時、彼は疲れて傷を受けていた。彼はまた勝利の石が家にあることを覚えていた。
彼らは馬に飛び乗り、シグルズの住まいに向かった。彼らは大地に掘られた住まいを見つけ、2人の婦人が彼らの方にやって来た。一人はシグルズの妻で、もう一人は彼らの娘であった。シグルズの娘は強いので彼女以上に強い男はほとんどいなかった。彼女は父に男がついてきていると判った。彼女はこの者は確かに父と戦ったと思った。父の武具がひどく傷ついているので彼女も父が打ち負かされたと思った。彼らが馬を降りた時、彼女は両手でセートレイヴを掴んで、すぐに彼を大地に投げつけ、彼の首に最初に激しく打ち付けたので首の骨が折れたと彼女は思った。
この時、セートレイヴは女性に地面に投げ飛ばされ、こんな恥と不名誉を受けたので屈辱を感じた。彼は片手を彼女の腕に回して、もう片手を彼女の喉にまわしてぎゅっとしめつけたので彼女の両目から水が噴出し、それぞれの爪から血しぶきが上がるほど手で締め付けた。彼女は叫んで白旗を揚げた。セートレイヴはたとえ激しく攻撃されようとも、婦人の殺害は不名誉であると思い、望もうともこれは彼女にとって悪いことだと思った。彼らそれぞれは離れて、皆で共に家に向かった。屋敷はよい装備品で整えられていた。彼はこの晩たいへんもてなした。彼らはいいワインを飲み、シグルズの娘が彼らを給仕し、ワインを上品に注いだ。彼女は美女であり、強かった。
彼女は熱いまなざしでみており、彼はそれに気づいた。彼女が彼にゴブレットを渡した時、彼はゴブレットごと彼女の指を握り、しばらくそのままでいた。彼女もそれに気づき、また彼女はワインを注いだ時、彼女は彼の片足を体でぐいと押し付けた。互いが意識していると互いに気づいた。
晩になるとセートレイヴとシグルズは寝床に行き、セートレイヴはその晩はいい睡眠がとれ、床に入るとすぐに寝入ったのであった。
夜もとっぷりとくれた頃、シグルズの娘はセートレイヴを訪れ、彼の寝床によじ登り、隣に寝た。彼は目を覚まして、彼女が隣にいたので静かにしていた。シグルズの娘は仲直り以外には彼のもとに訪れる理由はなかった。彼女は夕べ突然に攻撃したので、彼はそれを悪く思っていると思っていた。彼女は事を犯した者は、事が重大でなければ許しを申し出れるとわかっていた。しかし何を持って賠償するかはわからなかった。このあたりに座ってこの話を聞けば、彼女の身をもってとそそのかすだろう。だが、そんなことになった。他の娘よりずっと話上手な彼女はできのいい作り話や礼儀正しい会話で楽しむためにそこにゆき、また一人寝よりも2人で寝た時の方が一人あたりに寄ってくるノミが軽減されることを知っていたからである。彼らはたくさんお話をして、彼がとても知りたがったことを語り、彼女はたくさんのことを知っていた。こうして彼女は誰の手助けなしにたった一人で和解をしたのであった。しばしば12名の判断は転覆するのであるが、一人の場合はそうではない。彼女は話し合いにおいては賢く思慮深いのでこのこと全ての見通しを持っていた。
そして彼女は彼がビチュルールヴの息子であると知り、寝床から這い降りて、父が寝ているところへ行った。父はワインをたくさん飲んでいたので眠りは深く、彼女は父が昨晩戻ってきた時にしまっていた袋から勝利の石を取り出した。それから彼女は寝床に戻り、セートレイヴにこの石を渡し、彼らは夜明けまでそこで横になっていたのであった。
明るくなり始めたころ、シグルズの娘は起きて立ち去った。シグルズはセートレイヴのもとへ来て、彼に起きて全ての金銀財宝を見せると言った。朝食の時になり、彼らは食卓について食事をすませ、馬を取りに行って、完全なる腕試しを始めた。彼らは城に行き、馬を降りた。彼らは長く猛烈に戦ったが、シグルズの疲れのために休みの前に彼は3つの傷を負っていた。彼は剣を投げ出し、もうこれ以上戦いたくなかった。セートレイヴはこれを快く受けた。
互いに馬のところへ行き、騎乗する前にセートレイヴは彼に名前と家柄を伝えた。シグルズはとてもうれしくなり、彼を暖かく歓迎し、彼らは大地の家に戻り、シグルズは彼の好きなだけ留まるようにと言った。
「お前の父はわしに名前を隠しておけとは言わなかっただろう。」とシグルズが言った。
「父は貴殿との戦いを禁じたが、腕試しをしたかった。」とセートレイヴが答えた。
「決闘でわしを倒したのはお前がはじめてだ。そしてわしらは親友となり、まさにお前の父とわしのように同志になった。わしはお前に娘をやりたいし、お前が望むままの金銀を彼女に持たせよう。」とシグルズは言った。
セートレイヴはこれを喜んで受けた。シグルズは彼女のもとへ行き、答えを訊ねた。
「どうして父上に戦いで傷を負わせ、痛みで熱を負わせた者に私を嫁がせたいのか驚きです。でも私は決して父上と同等の力のある殿方が現れるまで嫁がないと誓いました。もしセートレイヴが大戦士であれば、喜んでお受けしましょう。」と彼女は答えた。
「セートレイヴはわし以上の戦士で、わしが言った以上に勇敢だ。娘よ、わしの助言をいけいれて、返事をくれて有り難う。同意の握手じゃ。」とシグルズが答えた。
「自らの言葉を守りましょう。父上はお約束されたこと全てを守ることを留意ください。」と答えて、彼女は父の手を両手で取った。
シグルズはセートレイヴのところへ行き、彼に事の次第を伝えた。
「貴殿の行為と名誉ある申し出に感謝します。貴殿は思いがけもなく彼女との事をうまく運んでくれ、申し出を喜んで受けて、これを有り難く思うでしょう。しかし私は当初の目的であった祖父の伯に会いに南へ行きたいし、そこより家に戻り、貴殿に会いに来て、私と共に貴殿のお嬢さんを連れて帰りましょう。」とセートレイヴが答えた。
「貴殿が望むようにして、すぐに貴殿が戻れるように旅に出てもらいたい。」とシグルズが答えた。
セートレイヴは馬で去り、シグルズは黄金10マルク(tíu merkr gulls)を与え、彼はすでに20マルク(tuttugu
merkr gulls)を持っていた。シグルズは彼の方を向き、出発の際に別れを告げて、娘もそうしたのだが、彼女は快くなかった。それは彼らの同意に気づかなかったからである。彼は同じようなことを彼女との別れに気づいていたのであった。
セートレイヴは計画通りに馬を進めた。人里、無人の所と長い道のりであった。彼はサクソランドに南下して、道のりで一人の男に出会った。彼はその者に挨拶をして、互いに情報や行き先を交換した。その者は南のエムルングランド(Ömlungalandi)からやって来て、フンランドに北上していると言った。
「貴殿はベルンのセトマル王の息子のシズレクというもののことを知っているか?何でもいいから教えて欲しい。彼がベルンの家にいるかどうかも。」とセートレイヴが言った。
「皆が彼のことを耳にしているのでベルン王の息子のシズレクは知っているし、彼は勇敢で、寛容で、家柄においても全ての男を凌駕しているが、彼は敵には厳しい。彼は今は屋敷にはいない。血族のエルミンレク王と共にローマ(Rómaborg)の宴に向かったところだ。」とその男が答えた。
「シズレクがローマに到着する前に会うことができる近道を教えてくれないか?」とセートレイヴが言った。
「近道はある。それはシズレクがローマへの南下に最もまっすぐな道はほとんど行かぬから。彼はフェニディで入り江から東の海に出て、馬に乗り換えて南下する前に数日間そこにいるだろうから。貴殿がトレント(Trentar)に向けてトレント谷(Trentudala)に降りれば、ベルンへの道につくだろう。出口まで山に沿って東に馬を走らせて、トレントにはいるあたりであらかじめ情報を得ておくことだ。東の海に行けば、全ての子らはシズレクの居場所を教えてくれる。これ以上私は言うことはない。」とその男が答えた。
セートレイヴは彼に黄金の輪を譲り渡し、情報への御礼をした。彼らは別れて、それぞれの道についたのであった。
エルミンレク王は大宴の準備をして、いたるところから帝国の者達を招待した。王たち(konungum)、伯(ヤール)たち(jörlum)、公たち(hertogum)、伯たち(greifum)、男爵たち(barúnum)、あらゆる類の首領達(höfðingjum)をである。彼はまたベルンのシズレクとその配下の者達も招待していた。セートレイヴは自宅でシズレクを見つけることができないとわかっていた。彼は2又の分岐点にやって来た。1つの道は祖父の伯のもとへ、もう一つは山を抜けて南に向かっている。
彼は横道で馬を止めて、どっちにいくかとつぶやいた。
「祖父よりベルンのシズレクとその仲間達の法が興味あるし、シズレクを見つけた後に祖父はどうにかして会えるだろうし。」
彼は馬を走らせて、谷、町から町へと南に入った。最後の日まで夜に休まなかった。彼は城に到着して、ベルンのシズレクとヴィズガとヘイミルを見つけた。彼らはアキ・エムルンガトラウスティ(Áki
Ömlungatrausti)という者の館で夜を過ごしていた。彼はエルミンレクの父違いの兄弟、ベルンのセトマルの半分血を分けた兄弟であった。この場所はフリティラボルグ(Fritilaborg)と言われていた。
セートレイヴはシズレクとその仲間達と同じ館で宿を取った。シズレクは彼の名前と出身を尋ねた。
「我が名はエルミンレク。父はデンマークのヴェトランド州(Vetlandsherað)のソーティ(Sóti)だ。」と彼は答えた。
「こんな長い道のりを来てどこに行くんだ?」とシズレクが言った。
「たとえ偉大でなくとも、私の奉公、馬や武器の世話をすることを受けてくれる大首領を探すまで馬を進ませている。ベルンのシズレクという首領を知っている。もし彼と出会うことができれば、彼がそれを受け入れているかどうか申し出ようと思う。では私が貴殿の出身、名前、貴殿の主、どこに行くのかを尋ねる。もし無礼だと思っても私を責めないで欲しい。それは私が外国人で、此度、家を離れるまで遠くに出たことも無く、他所の習慣を知らぬからだ。」とセートレイヴが言った。
「貴殿の問いかけをどうとは思わぬだろう。もし貴殿がベルン王のシズレクの息子に出会い、奉公したいのであれば、よき者よ、貴殿にとってよいことになるだろう。なぜならここで貴殿はベルンのシズレクとヘイミルという男とも出会うことができるからだ。そして、たとえ私がこれらの2名をまず紹介しようとも、他にも勇敢な者が彼のもとにおり、他の価値ある者より彼に仕えることをシズレク王子は悪くは思わぬだろう。」とヴィズガが言った。
セートレイヴは立ち上がり、シズレクの前に行った。
「ごきげんよう、閣下。これ以上閣下を探さなくてよく、ここで出会えたのは光栄だ。私は閣下とその仲間達に奉公を申し出たい。」
シズレクは彼の奉公を受けると言い、彼らの馬の世話をするために宴に彼らとともに来るようにと言った。セートレイヴは喜んでと言った。
その朝、彼らは行き、アキ・エムルンガトラウスティが同行した。彼らのもとには20名の者達がおり、ローマに到着したその日に宴が始まった。皇帝の家来達の多くがそこにおり、最も高貴な王の館は栄光ある首領達のために整えられていた。しかし郷士と臣下の者達は厩舎のある館にはおらず、セートレイヴは彼らのもとにいたのであった。
セートレイヴは王の宮廷(konungs garð)に行ってひがな食事したくはないと言った。人には頼らない精神であった。宴の最初の日、セートレイヴは市場に行き、多くの従者達が彼について来た。市場に着くと、セートレイヴはワインと食料とご馳走の類を全て買い求め、王の食卓に劣らぬようであった。セートレイヴは宿にこれらのものを持ち帰り、ふんだんに食卓を飾った。彼は多くの従者や家臣たちを招待して、3日間の宴を申し出た。彼が家から持ってきた30黄金マルクのお金は全て使い果たした。
彼は王の宴が続く限り宴を続けたかった。彼は市場に出て、たくさんの食料を買い求め、ヘイミルの馬のリスパと彼の剣のナグルフリングや武具全てを10黄金マルクと引き換えた。彼はより多くの者達を宴に招待して、お金を使い果たすまで興じたのであった。
彼はやめる気が無く、市場に出かけ、たくさんのご馳走を買い求め、以前以上にいい物を手に入れた。彼はヴィズガの馬のスケッミングと彼の剣のミームングと武具を20黄金マルクと引き換えた。そして彼は大々的に宴を行い、高価なものを宿に吊るし、彼はお金がなくなるまでお金をみんなに振舞った。それから彼は宴を新たにしたいと思った。王の宴は丸7日間続き、残すとこ2日となった。
セートレイヴはシズレクの馬のファールカ、武器と武具を持って馬で市場に行った。彼は再び新たな宴を試みて、彼は最高級品と思うものを買い求め、彼はある者が12ペニーで市場で買い求めようとしているのを見て、彼の前にそこへ行き、買い損ねたくなかったからそれを12ペニーで買い求めた。彼が宴のために買い求めるまでに、シズレクの馬のファールカ、黄金で施されたエッキサクス、兜のヒルディグリーム、武具を質入れした。彼はそれで黄金30マルクを手に入れた。彼は全ての召使い(sveinum)や家来(þjónustumönnum)、音楽家(leikurum)や曲芸師(loddurum)を招待し、彼らはみな承諾し、彼は3000名の客人に大盤振る舞いをした。彼らは宴が続く限り酒を飲んだ。宴が終わった日に、彼はイースング(Ísungr)という楽師頭に母から譲り受けた黄金の環(gullhring)を与えた。この楽師は楽師と曲芸師の長で、そのうちで一番有名で、彼は彼に黄金で縁取られ、紫の布から作られた全ての新しい衣装を与えた。これらはシズレク王子(konungssonar)の高貴な衣装で、彼は芸の御礼としてイースングに支払い、彼は全ての曲芸師に1〜2マルクを与えたのであった。
シズレクはセートレイヴを呼び出し、家に戻るために武具や馬の鞍や馬について尋ねた。
「閣下が宴にいた間に、私と仲間らはここで待っていたのでそのお金をまず最初に保証してもらわなくてはいけない。この地は不慣れだったので、食事のために王の食卓にまで行くには遠かった。」とセートレイヴが言った。
「よし、その間のお金を払おう。いくら欲しいのだ?」とシズレクが言った。
「そうたくさんではない。当初は手持ちを使い、それの代価はいりません。それは黄金30マルクで、私が必要なのはその他の黄金60マルクだ。ヘイミルの馬と武器は黄金10マルク、ヴィズガの馬と武器は20マルク、閣下の武具は30マルクで質入したので、お望みであれば支払ってください。付け加えて、閣下の衣装は黄金の環を添えて楽師に与えた。閣下に会いに来たこの今、中庭は閉ざされ、すぐには開場できない。私が足で扉を蹴破って開けたので、鉄の扉は門番にぶつかってしまったのだ。私が中庭にはいった時、召使と料理人は私に近づいてきて、私に害をなそうとした。私は彼らの一人の足を捕まえて、それで他の2人を撃ち殺した。閣下が私に言いたいことはわかっている。」とセートレイヴが言った。
やっとヘイミルは彼が誰かわかったのであったが、セートレイヴは最初からヘイミルが誰かをすぐに判っていたのであった。
「たとえ召使や馬番が全ての我らの武器を取り上げて、それらを塵くずに投げ入れようとも、踏みつけようとも、その召使が必要だっただろう。」とヘイミルが言った。
シズレクは立ち上がって、王のもとへ行き話し掛けた。
「陛下、貴殿は我らがここにいた間の召使と馬の費用を支払ってくれませんか?」
「よし支払おう。金庫番(féhirði)のシフカ(Sifka)を呼んで貴殿が必要なだけ与えるようにと伝えるのだ。どれだけ必要なのだ?」と王がすばやく答えた。
「この召使に尋ねてください。」とシズレクが答えた。
「お前、若いの、お前自身と馬にかかったお金はいくらだ?」と王がセートレイヴに言った。
「陛下(Herra)、そうは多くはないです。私は私自身に黄金30マルク遣い、これについては申しません。残りのお金は黄金60マルクで、これを支払って欲しい。それはシズレクとその同志の数頭の馬と武器を質入したからです。」とセートレイヴが答えた。
「9日間で使い果たすやつはどんなやつだ。お前がやった行いはお前の器には贅沢すぎやしないか?お前は英雄か馬鹿かどちらだ?」と王は怒って答えた。
「もし腹ぺこの者がおれば、食事に招待せずにその者と長く話すことはしないという高貴な者達の習慣があります。私は今までそうやってきた。」とセートレイヴが言った。
王は彼に食事と酒を与えるように言い、そうした。彼はほぼ3人前した。給仕が運べるのがやっとの大きさ黄金のコップに入ったワインが彼に与えられた。彼はそれを取り上げて、一気飲みした。王とシズレクと彼の全ての者達は彼が食事している間凝視していたが、彼は気にかけていなかった。
王の家臣の中で最大の戦士のエルミンレクとセトマルの甥のヴァスカステインのヴァルタリ(Valtari
af Vaskasteini)という一人の騎士が立ち上がり言った。
「金を遣い、飲み食いしたお前は何ができる?槍投げや投石ができるのか?」
「貴殿がお望みなことはなんでもできるでしょう。」とセートレイヴが答えた。
「私といくつかのゲームをするのだ。もしお前の方が優れていれば、私の首をやろう。だがお前が私の要求を受けないのであれば、侮辱ゆえに死なねばならぬ。お前がここで使ったほど高額な浪費を二度とせずに、王の財産を使い果たすようなお前がやった宴のようなものはどんな首領もしないだろう。お前に比べれば他の者などかわいいもんだ。」とヴァルタリが激しく言った。
「皆その演説は覚えておくでしょうが、私はいつでもゲームをする準備が整っている。もし状況が悪くなっても私の命を落とす以上のことって何だ?貴殿は確かに腕試しを持ち出した。もしこの腕試しを成就せずとも我が血族はちっとも悲しまないだろう。しかしそんなことにはならないだろうけど。」とセートレイヴが答えた。
彼らは野原(völlr)に行き、石を取った。そして2シップポンド(tvau skippund。1シップポンドは148KG)ほどの重さであった。ヴァルタリはその石を取って9フィート投げた。しかしセートレイヴは10フィート投げた。そしてヴァルタリは13フィート投げたが、セートレイヴは18フィート投げた。ヴァルタリはセートレイヴがこのゲームに勝ち、誰もが納得していたのでもう挑戦はしたくなかった。
それから彼らはアッチラ王(エルミンレク王は親友であったので彼を宴に招待していた)の軍旗の棒(merkistöng)を手にした。この軍旗の棒は最も重いものであった。ヴァルタリは棒を王の館の上を飛び越えるように投げたので、館の壁で止まった。それを見た誰もが驚くばかりの投げだと言った。セートレイヴは棒を取って、館を越えるように投げた。そして投げると、館を走って通り抜けたので、空中で棒をつかみ、持って行った。誰もがセートレイヴが2つのゲームに勝利したと言った。
「名士よ、貴殿の望むだけの金銀財宝で我が血族の賠償をしたい。」とエルミンレク王が言った。
「陛下の血族の首を私が何をするのでしょうか?彼は名士で、彼の首は陛下に引き渡しましょう。そして陛下は望むだけ報酬をくれればいいが、その前に我が主とその仲間の武具を見受けしなければならないのです。」とセートレイヴが言った。
「この選択を喜んで受け入れよう。」と王が言った。
それから王は彼らが必要なだけたくさんのお金を用意し、彼の臣下の武器と馬を取り戻した。王は彼に最もすばらしい装備を与え、出来る限りお金をたくさん払い、その後に王は彼を騎士の称号を授けた。セートレイヴは彼の名と家系を告げ、国々で有名になった。シズレクは彼を仲間として受け入れ、同等であると言った。この今や終宴し、互いに友情を約束した。シズレク王子はベルンに馬で戻り、セートレイヴと楽師頭のイースングを含めて、全ての彼の者達は彼についていったのであった。
(03/09/12)
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