Herferðir Þiðreks konungs

130章・Ömlungr kemr til Bernar.

彼らがベルンに戻ってから数日後、一人の若者が馬でやって来た。彼の名はオムルング(Ömlungr)で、ホルンボギ伯の息子であった。彼は父を探して旅をし、ここに留まりたいと望んだ。シズレクは彼を暖かく迎え入れ、今や9名の仲間達になり、皆は同等の者達であった。

131章・Þiðrekr tekr konungdóm.

セトマル王が死への病床についた。彼はそれから最好調の時に死去した。息子のシズレクは王国を取り、ベルンの王になり、広く響き渡る最高の首領になった。彼の名は称えられ、この世がある限りすべての南の王国で深く刻み込まれたのであった。

132章・Vildifer gerist maðr Þiðreks konungs.

ある日、シズレクが勇者達(kappar)に取り囲まれて高座(hásæti)に座っていた時、一人の男が足元に来た。彼は背が高く、強かったが、彼は衣装と武器を十分なものを身に付けていなかった。彼はフード(höttr)を被り、顔ははっきりと見えなかった。王の前に来て、礼儀に従って挨拶をした。王は品よく礼があったので外国人(útlenzkr maðr)であれど彼を迎え入れた。シズレクは彼に素性を尋ねた。
「我が名はヴィルディヴェル(Vildifer)、家系はオムルンガランド(Ömlungaland。オムルングは伝統的にドイツの話中のシズレクと彼の者達に与えられている)の者だ。閣下への奉公目的でここに参上仕った。もし受け入れていただけるなら、家臣になりたい。」と彼は答えた。
「たとえ貴殿のことはわからなくても、もし同志らが受け入れを望むなら奉公を受けよう。」とシズレク王が答えた。
「閣下が受け入れれば、誰も反対しませんでしょう。彼を追い返すより仲間いする方がいいでしょう。」とヴィズガが言った。
 王は彼を仲間に喜んで引き入れた。彼は手を洗いに行き、食卓に着いて羊毛の毛皮の上着から手を伸ばした時、ヴィズガが彼の腕に分厚い黄金の環がはめられているのを見た。これゆえに身なりを悪くしようとも、出生がいいものであるとわかった。
 シズレクは彼に上物の衣装と馬を武器を与えた。ヴィルディヴェルは最も男前で、最も礼儀正しき者に見えた。彼はまず王と最高の者達と付き合った。ヴィズガとヴィルディヴェルは親友になり、どちらかを欠いて行動はできなかった。王は全ての他の者達より彼といることを好んだのであった。

133章・Herbrandr verðr riddari Þiðreks konungs.

シズレク王はヘルブランド(Herbrandr)という高貴な男のことを耳にした。彼は他の誰よりもずっと旅をし、南の海方面に住む最も高貴な首領全てと共にいた。彼はまたギリシャのあちこちを旅し、その習慣の全てを知っていた。彼はほとんど全ての言語を駆使でき、最も勇敢な者であった。シズレクは彼に会いたいをの伝言を送り、彼は宮廷に来た。彼は歓迎され、シズレク王の騎士になった。彼は見識者で全てのことにおいて熟知していたので最大の相談役になった。彼はシズレク王の軍旗を持ち、それをとてもうまく礼儀正しく運んだのであった。

134章・Frá konungunum Attila ok Ósantrix.

この時代を通してフーナランド(Húnaland)のアッチラ王とヴィルキナランドのオーサントリクス王はとても敵対しており、アッチラは勝利と敗北を交互に繰り返していた。アッチラ王は自らを強化し、力ある首領や家臣らとの友情を通じてこの軍を増大した。彼は市民からこの王国中で大変好かれていた。全ての者達はそこで暮らして一生を終えたいと望んでいた。しかしこの国の首領たちにこれ以上要求できなかったので彼は市民からより多くの家臣を得ることができなかった。専制政治は市民にはよくないと思ったので、彼は統治する全ての者達を寛容に扱った。
 オーサントリクスは歳不相応な傾向を取っていた。全ての者達の首になんとか持ち上がるような重りをつけるといった彼は自国の市民に圧政を行った。彼は国土の大きさと多数の戦士たちに頼っていた。より多くの税を徴収し、より多くのことを要求した。彼は王国内外の貧富を問わず、自らの家臣や農夫や商人ですら、全ての者達と交易を願っていた。彼は岸達に封土を与えたのだが、彼は監視を望んだ。しかし彼が要求した以上に彼のもとにたくさんのものが集まった。お金や食料はいつも宮廷では少ししか供給されなかった。それらは持ち込まれる時、いつも袋にひっくりかえされたかのようかで、いつも空腹と飢えの状態であった。彼がアッチラに敵意があり、互いに互いの王国を攻撃したので、皆が予期したように12ヵ月ごとに徴兵があった。戦いが終わると平和時に彼はすぐに国民全ての徴税と徴兵を課したとは不適切で納得がいかないように思われた。悪行三昧だったので彼は自身とその血族のために他の者達の所有物を没収した。国民は彼が戦いで国を離れた時だけが平和であった。彼らは皆、王が遠征に出て帰ってこなければいいと願っていた。彼らは王がいない時は幸せで、帰りを恐れていたのであった。
 オーサントリクスのもとには兄弟の「棒持ちの」ヴィゾールヴ(Viðólf mittumstanga)とアヴェントロズ(Aventroð)という2人の巨人(risi)がいた。しかし彼はベルタンガランドのイスング王(Ísungs konungs í Bertangaland)のもとに友情で兄弟のエディゲイル(Eðgeirr)を送り出していた。イスング王はその領土を見張るために境界近くの大きな森にエディゲイルを置き、イスングはエディゲイルが見張っている土地のからなにも心配していなかった。

135章・Attila konungr fær liðveizlu Þiðreks gegn Ósantrix.

話はアッチラ王に移る。彼はどちらかというとオーサントリクス王との和平を願っていた。彼は彼との会合のためと彼が彼と折り合いをつけるかどうか知るためにたくさんの家来を遣わしていた。アッチラがあらゆる状況下において彼との折り合いはつかないだろうと確信した時、オーサントリクス王に対するヴィルキナランドでの襲撃のために、もし手助けして最良の全ての戦士をよこしてくれるのであれば、フナランドに来てくれるようにとシズレク王に手紙を書いた。彼ら両者は手助けを約束していたので、ほうっておかないようにと頼んだ。シズレク王は友人が手助けを持てを求めているので出発した。
 彼は勇敢を証明した500名の家来と彼らと共に全土からの兵と共に馬でベルンを出発した。彼らがフーナランドに到着した時、アッチラ王は彼らの到着に喜んで、暖かく迎えた。彼はヴルキナランドへ彼らと共に馬で行く準備をした。
 彼らは全軍でヴィルキナランドに乗り込んだ。彼らが到着した時、襲撃し、数名は取り逃がしたがたくさんの者達を殺害した。彼らは大きくて美しい城、たくさんの村、大きな農場の数々に火をつけた。彼らはまたたくさんの戦利品、人、金銀を手にいれた。

136章・Sigr Þiðreks ok Attila á Ósantrix.

オーサントリクス王は王国全土から大軍隊を集め、彼らは圧倒的な軍隊を会戦するために馬で進んだ。対面したとき、大戦闘になりたくさんの戦死者がでた。シズレクの軍旗持ち(merkismaðr)のヘルブランド(Herbrandr)は大胆に馬で前進し、両側の敵と馬を攻撃し、それぞれの敵の頭に死の一撃を食らわせた。彼の後をシズレクとその戦士らが誇りを持ち、堅い兜や厚い盾や強いチェーンメール(brynjum)で剣を試して戦った。同志の誰も他者を手助け仕損ぜず、誰も彼らの進行を阻むことができなかった。彼らはヴィルキナ人達の軍隊の中に馬で突撃し、両側の者達を倒していった。
 シズレク王は全ての家来達を煽り、傲慢に成り過ぎないようにと言い、誰もこれ以上躊躇しないようにと言った。彼らは自らの腕っ節ををヴィルキン人らに見せつけた。
 彼らは再び以前のように激しくなり、誰も彼らに抗えなかった。オーサントリクス王は残された選択は逃げるの一つしかないと判った。彼はすでに500名の騎士を損失していたのだが、アッチラはたった300名しか損失しておらず、敵を敗走に追いやった。

137章・Viðga tekinn til fanga.

それからオーサントリクス王の甥(bróðurson。兄弟の息子)のヘルトニズは彼の軍団と同行し、ヴィズガが倒れているのを目にした。彼はすぐに彼の武器と容貌と報告で彼が誰かを理解した。彼は彼を捕らえて縛って連れ去った。ヘルトニズは血族のオーサントリクス王が全ての家来を引き連れて逃げていたので、逃げること意外に選択肢がなかったのだと判った。彼らは他の者達のように逃げた。ヴィルキン人達はこの時敗走し、互いに自国の屋敷に戻った。オーサントリクス王はヴィズガを地下牢に放り込んだのであった。

138章・Vildifer dvelst eftir með Attila konungi.

アッチラ王とシズレク王はアッチラの王国の首都のスーサト(Súsat)へと帰郷し、彼らはそこで一晩過ごした。翌朝、シズレクは馬でベルンへ帰郷し、彼はヴィズガの他に60名の家来を失ったが、彼はそれらの者達ら全てよりヴィズガを失ったことをさびしく思っていた。
 ヴィルディヴェルはシズレク王の前に行き、彼にここにしばらくいさせて欲しいと言った。シズレク王は彼になぜ留まりたいかを尋ねた。ヴィルディヴェルは仲間のヴィズガの生死を確認するまでベルンには戻りたくないと言った。シズレク王はこれに対して彼を誉めて、彼をアッチラ王のもとで置いておいた。しかしシズレクは馬でベルンに戻った。

139章・Vildifer veiðir bjarndýr ok flær af belg.

数日後、アッチラ王はリラヴァルド(Lyravald)という森に行き、彼は鷹と犬(hauka ok hunda)を連れて獣と鳥の狩をした。ヴィドディヴェルとその他の多くの者達と騎士たちは彼らのもとにいた。夜になるとアッチラは一行を引き連れて戻った。ヴィルディヴェルは2頭の大きな犬だけを共として森に残った。彼は全ての獣の中で最も大きな1頭の森の熊(björn)を見つけた。彼は熊を捕らえて、その皮を剥いだ。彼は熊の毛皮を持ってこそこをと行き、彼以外には知られない場所に隠したのであった。

140章・Vildifer ok Ísungr höfuðloddari búast til ferðar.

ある時、楽師のイスングがベルンのシズレクのもとから北のアッチラを訊ねた。楽師は数々の首領を平和的に行き来できるので、彼はヴィズガが生きているかどうかを偵察して発見することを申しでていた。アッチラ王は彼を暖かく歓迎した。彼は他の者達に加わり、夜通し興行していた。
 ヴィルディヴェルは楽師イスングと話し、彼にヴィズガの生死が判るまでベルンには戻らないとの旨を伝えた。そして彼はイスングの協力でオーサントリクスの宮廷に行こうと提案をした。イスングはすぐに同意し、翌朝に準備が出来たと言った。
 翌朝になるとすぐにヴィルディヴェルはアッチラ王のもとへ行き、オムルングランドにある一族の領土に行き、その後に戻ってくると言った。アッチラは自らで決心したかどうかを訊ね、騎士が必要かそうでないかを訊ねた。ヴィルディヴェルは楽師長のイスングが彼の供をするので他にはいらないと言った。それは治安のいい場所を行き、知った知人や血族を会うからだといった。アッチラ王は彼に出発の許しを与えたのであった。

141章・Vildifer klæðist bjarnarham ok fréttir til Viðga.

彼らはスーサトを後にして、人目から離れるとヴィルディヴェルは熊の毛皮を取りに行ってイスングに見せて、策略に役に立つかどうか訊ねた。楽師イスングは皮を見て、あらゆる策を考えめぐらして運があれば役に立つと言った。イスングは彼に皮を被るように言うと彼はそうして、チェーンメールの上に着けた。イスングは針と糸を手にすると体と足にぴったりするようにと縫いつけた。その腕前で、ヴィルディヴェルは誰が見ても熊そのもので、ヴィルディヴェルは熊のような動きをした。イスングは彼に首輪を着けて、彼を後ろにして引っ張って行った。彼らはヴィルキナランドに到着するまで2日かかったのであった。
 彼らがオーサントリクスの城からそう距離のないところで、一人の男に出会い、イスングはその者に情報を求めた。イスングは彼にどこから来たのかと訊ね、彼はオーサントリクス王が住んでいる城から来たと言った。イスングは王が在宅かどうか尋ね、王が家来を抱えているかどうかを尋ねた。
 その者は王は在宅しており、兵は遠征(herferð)から最近戻ってきて、彼らを町に置いておくのは経費がかかるのでほとんどの騎士は家に戻っているので、彼の元には数名の者達しかいないと言った。
 イスングは彼がこの遠征で得た勝利について王はどう思っているか訊ねた。その者は王はそれについてはほとんど口にせず、他の者達は王は獲得よりも損失のほうが大きかったと言っていると言った。そして王はベルンのシズレクの戦士の一人を捕らえて、彼が甥のヘルトニズのためでなかったら、彼を捕らえなかっただろうと言った。
 イスングは血族のヘルトニズがしろにいるかどうか尋ねた。彼はまた捕まえた戦士が誰なか、また生きているのかを聞いた。
 彼はヘルトニズはいないと言い、彼は自らの城に戻って暮らしていると言った。捕虜の名はヴィズガで、重い足かせがつけられて地下牢(myrkvastofa)にいると言った。そしてそこで酷い拷問の最後の日を待つばかりだと言った。
 イスングは彼は非常に慎重に留置して、王はもし彼が解き放たれても得にならないだろうと言った。彼とその男は互いに別れを告げて別れた。

142章・Ísungr ok björninn leika fyrir Ósantrix konungi.

イスングは城に行って、すぐに中に入って王に謁見した。有名な楽師は大歓迎された。オーサントリクス王はこの他とは違う有名な楽師が何ができるのかを尋ねた。彼は竪琴(harpa)、フィドル(fiðla)、全ての弦楽器(strengleikr)が弾けると言った。
 王は竪琴を彼に渡して弾かせた。王と他の者達はこんなすばらしい音色は初めてだといった。彼が竪琴を弾いている時、熊が音楽に合わせて踊っていた。イスングは熊をヴィズレオ(Vizleó)という名で呼んでいた。皆は熊が踊る事、その調教に驚嘆した。イスングは熊で王を楽しませた。熊にはイスング以外には近づけないと言った。近づく者を爪で引き裂くと言った。すると王は熊がよく調教されていると言い、他に何かできるのかと尋ねた。するとイスングは遊戯と踊りができると言った。

143章・Ósantrix vill etja hundum sínum við björninn.

それからイスングは寝に行った。翌朝にオーサントリクス王はイスングにもっと熊に何かをさせるように言った。イスングは熊は言うことを聞くと思うが、もし事の次第ではいいこととにはなるとは思えないと言った。王は数頭の猟犬を熊にまずけしかけ、どれぐらい熊が強いか見たいと言った。イスングはそれは熊にはよくないことで、自分はそれで熊を失うと答えた。熊は金銀では代えられないと言った。また彼はもし王が熊に犬をけしかければ、熊を殺すようにけしかけ、熊はすぐに降参しないだろうと言った。王はこの要求は断ることができないと言い、犬を準備して、王やそれ以外の者達は熊を傷づけないと言った。イスングは同意した。彼らはヴィズガが足と首に強い枷をつけられて地下牢に入れられていると情報を得るまでにその日の夜までかかったのであった。

144章・Dráp Ósantrix konungs ok lausn Viðga.

翌朝に王と全てのお付きの者達は草原へと城を後にした。「棒もちの」ヴィゾールヴは戦以外には自由にはしておけないので強固な鎖に縛られていた。彼らにはそこは危険とは思われなかった。兄弟の巨人のアヴェントルドは彼を引っ張ってゆき、彼らは両者とも王の家来達全てのように武装解除していた。婦人達と家来達も行われる興行を見に全ての子供らを連れて城から来ていた。ヴィズガは友人のイスングが着ていると知り、シズレク王か他の同志が助けで逃げれると思った。
 ヴィズガは枷を壊した。彼らは60頭の大きな犬を熊にけしかけた。熊は最大の犬を捕まえて、後ろ足と一緒に前足を捕らえ、それで最良の犬を12頭殺害したのであった。
 王は犬達が殺害されたのに腹を立て、剣を抜いて熊に躍りかかって両肩に攻撃した。剣は皮を裂いたがチェーンメールで止まった。彼はすぐに家来のところに戻ったが、ヴィルディヴェルは剣を握るとイスングの手から離れて王の後を追った。彼が首を落とすと、アヴェントロズに飛び掛って殺害した。次に彼は「棒もちの」ヴィゾールヴへ向かい、殺害した。こうしてオーサントリクス王は彼ら両者が生きている限り守ってもらえると信頼を寄せた2名の巨人と命を落とした。そして全ての王の家来達は逃げ出し、王が死んだので恐怖におののいていた。彼らは悪霊が熊に憑依したと思ったので、ほとんどの者達が恐怖で口もきけなかった。
 ヴィルディヴェルは城に走って戻り、親友のヴィズガがどこにいるかと叫んで探した。しかしヴィズガはすでに地下牢を壊しており、60個の死体が転がっていた。彼らは武器も馬にもこと欠かなかった。彼らはヴィズガの馬のスケミングとミムング以外の彼の武器全てを見つけた。彼はそれを見つけられずつらいように思われた。ヴィルディヴェルは熊の皮を脱ぎ捨てて、彼が誰かわかるようになった。城の者達は彼が人であり、トロルでないとわかった。彼らは大いなる計略で首領を彼が殺害したと判り、数名の者達は彼に復讐をするために武器を求めた。
 ヴィズガ、ヴィルディヴェル、楽師イスングは馬に飛び乗った。彼らは使命がうまくいったと判り、出来るだけ金銀を手にして城を後にした。彼らはその国をアッチラ王の宮廷のあるフーナランドに到着するまで最速で駆けていった。

145章・Þeir félagar koma til Attila konungs.

王はヴィズガと仲間達は快く迎えられ、地獄からヴィズガが戻ったかのようにしていた。彼はどのようにオーサントリクス王から逃げてきたかをたずねた。ヴィズガは王に事の次第とオーサントリクス王の死について話した。
 「シズレク王は名首領で勇敢な者で配下に恵まれている。彼らは他の者達のために命を投げうち、まさによき友、貴卿がしたように困難を乗り越えて救ってくる。この行為には報酬が必要だ。貴卿は平和を私にもたらした。オーサントリクス王はみじめな運命を迎えたのも事実だ。もし貴殿が折り合いをつけるのならその方がよい。我らが関係しているのは恥でもない。しかし貴殿は我らに大きな不満を与えた。より早い解決は我ら両者にとってよりいいことになろう。」とアッチラ王が言った。

146章・Viðga spyrr til sverðs síns, Mímungs.

ヴィズガ、ヴィルディヴェル、イスングはアッチラ王の許しを得て、南のベルン、シズレク王のもとへ馬で向かった。シズレク王は彼らを見て喜び、彼らに話し掛けた。彼らは事の次第を伝えた。シズレク王はヴィルディヴェルに感謝した。彼はこの勝利で国中で名声を馳せた。
 ヴィズガは家におり、気が重かった。シズレクはヴィズガにそれをたずねた。
 ヴィズガは剣のミムングを見つけだすまでは二度と降伏にはならないと言った。そしてもし持ち出した者が誰かわかれば、死ぬかミムングを手にいれるかのどちらかであると言った。シズレク王はそのことをあまり口にしないように言った。そして誰が剣を持っているかを教えると言った。その者は彼の家臣の中におり、ヘイミルであると言った。ヘイミルがヴィズガが倒された後すぐに手にしたといった。こうして数日が過ぎたのであった。

147章・Erminrekr konungr biðr Þrek liðs.

エルミンレク王はローマから血族のシズレク王のいる北に家臣を遣わせた。彼らはシズレクが全軍を率いて、リムステインという伯に対抗する手助けをするようにとの伝言を託された。この伯はエルミンレク王の配下の貢納者であったが支払いを拒否した。彼はゲリムスヘイムという城に住んでいた。シズレクはこれを熱心に実行したがった。ヴィズガはこれを聞き、ヘイミルを訪ねて剣のミムングを渡すように頼んだ。ヘイミルはこの遠征から戻って返却するなら彼にミムングを貸すといった。ヴィズガはその通りにすると言った。

148章・Konungar draga lið at jarli.

シズレク王は彼が同等と認める勇敢な500人の家臣とそれに従う兵を全て率いてベルンを馬で出て、血族のエルミンレク王と合流しに向かった。エルミンレク王はすでに6000名の兵ととよい騎士を連れて到着していた。2名の王はヤールの領土へ入り、いたるところに火をつけて殺害をした。彼らはゲリムスヘイム城(borgina Gerimsheim)の前に来て、城付近の建物全てを焼き落とした。彼らはそれから天幕を張り、その場所あたりに野営した。エルミンレク王は軍隊とともにある壁の前に布陣し、シズレク王は軍隊とともに他の門に夫人した。
 彼らは落城できなかったので2ヶ月そこに留まったのであった。

149章・Viðga fellir Rimstein jarl.

ある晩、リムステイン伯が6名の騎士を連れて偵察するために城から馬で出てきて、こっそりと敵がどのようにしているか、武装しているかどうかを偵察した。この前に彼は壁の内側で自軍に武装させ、もし敵が準備をしていなかった場合のために戦に備えさせていた。
 伯が城に戻ってきて、彼は城と天幕の間を行き、一人の男が彼に向かってきた。シズレク王が見張らせていた者で、強者ヴィズガであった。6名の騎士は彼に突撃した。彼らは彼が敵であるとはっきりとわかり、彼らは話し掛け、馬上から各自が攻撃した。
 ヴィズガはうまく勇敢に防御し、全身全霊を持って伯を攻撃して兜と頭と胴を引き裂き、剣はベルトにまで達した。彼は死んで大地に崩れ落ちた。彼の家来は伯の死に驚き、城に馬で駆け戻った。

150章・Deila Viðga ok Heimis.

ヴィズガは馬のスケミングに掛け声をかけて仲間のもとへと駆け戻った。彼は馬を走らせ、天幕(landtjald)に戻った。シズレク王と全ての者達は天幕の前に立っており、ヴィズガが誉められるようなことをしてきたに違いないと思っていた。
 ヘイミルは彼に誉められるような何をやってきたのかを尋ねた。彼らはヴィズガを温かく迎え、彼に話し掛けた。彼は伯は死んだのでもはや問題はないといった。彼らは誰がそうしたかを尋ね、ヴィズガはある男が伯を殺して馬から落としたと言った。
「隠し立てすることはない。貴殿がしたんだろう。伯の殺害はたいしたことじゃないので自慢するほどでもない。女でもできる。なんせ伯は老いぼれだからな。」とヘイミルが言った。
 ヴィズガがこれを耳にすると、激怒した。彼はヘイミルに挑みかかり、身に付けていた柄から抜刀してミムングを握った。彼はナグルフリングを取り、ヘイミルの足元に投げ、決闘を申し込んだ。ヘイミルはすぐに動いた。
 シズレク王は同志と共に彼らの間に割って入り、こんなことで戦って欲しくはないと言った。彼らはヴィズガに落ち着くように言ったが、彼は悪く受け止め、ヘイミルは首と胴が離れない限り自らのベルトにはミムングは返すつもりはないのだろうとヴィズガは言った。彼は彼らの間に十分な理由があり、ヘイミルは彼を長らく侮辱していたと言った。彼は今であろうと遅かれ早かれ争いがあるだろうと言った。これは決着をつけなくてはいけないことである。ヴィズガはオーサントリクス王との戦いの戦場で倒れた時、ヘイミルが容易く彼を助けれた時の行いとしては男らしいものではないと言った。その上に剣を盗んだとも付け加えた。
 シズレク王はそれは適切な行いではないと言い、ヘイミルに負けを認めるように言った。それからヘイミルは単なる冗談だと言った。ヴィズガは不機嫌にこれを受け入れ、こうしてこのもめ事は終結してのであった。
「親友よ、貴殿が伯を殺害したんだな?」とシズレク王が言った。
「閣下、そうです。伯は最初に5名の騎士を連れて私に向かってきて、伯は死に、その他の者達は逃げました。」と彼は言った。
「貴殿は確かに勇敢な仲間で、抜きん出た者だ。我が感謝と我らの友情を受け取れ。」とシズレク王が言った。

151章・Erminrekr setti Valtara hófðingja í borginni.

朝になるとシズレクは血族のエルミンレクに伯の死を伝えた。彼は聞くとすぐに全てのトランペット(lúðrum)を吹かせ、全ての騎士に武装させた。それから彼らは投石機(valslöngva)、大弓(lásbogi)、ギリシャの火(skoteldr。飛ぶ火でギリシャの火か?)、あらゆる兵器を持って城へ向かった。防衛者たちは降伏して城を開け渡すしかないと判った。王は彼らの命と財産を保証した。彼がこの地を手に入れると、血族のヴァスカステイン(Vaskastein)のヴァルタリ(Valtara)を首領として任命した。
 王たちは馬で戻り、自らの王国、エルミンレク王はローマ、シズレク王は勇士達とともにベルンを統治した。シズレクが平和に国ですごし、しばらく時が過ぎた。彼は生涯このような時代をほとんどおごることなかった。彼はこうした偉業、戦、決闘などのことに携わっていた時は最も幸せを感じていた。


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