神話や伝説には史実を下敷きにしたであろう、もしくは史実を題材にしたであろうものが少なくないと思われます。そしてそのお話を歴史的、もしくは地理的事実と照らし合わせていくという作業はこれまたマニアにはたまらん作業となっているのです。そしてその一つがニーベルンゲンであり、その叉次ぐらいに有名かもしれないのが、シドレクスサガというものらしいのです。このサガは元々はドイツが発祥らしいのですが、13世紀のノルウェイ王が諸外国の文学を自国のサガとして取り入れることを推奨したためにノルウェイに輸入されたものです。地名なりが北にシフトしているとか、どーだとかこーだとかあるそうですが、物語の成熟する過程の特性というかで、お話は輸入された時に、その地に馴染む、もしくはより信憑性を高めるため等の理由で、その土地ならではの人や地名に置き換えられたりするというのはデフォだと思われます。例えば、日本でも中国から様々なお話が輸入されましたが、それがそこここの地にあった名称なりに置き換えられ、物語が成熟していった例はごまんとあると思います。ついつい、遠いヨーロッパでの出来事なので神秘性を感じてしまう方がいるようですが、身近な例に置き換えていけばなんら神秘的な事ではなく、当たり前の事であるとお判り頂けると思います。といっても民俗学の見解で見てみると、なぜその人名や地名が選ばれた、もしくは摩り替えられたなど等と推測するのは意味があることだと思います。
で、ためしに私もやってみることにしました。が、これまた「ド・素人」の遊びでやっていることで、甘っちょろいものになっていると思いますが、そこのところはご容赦頂ければ幸いです。なんでやってみることにしたのかというと、北欧に輸入された時に、わずかながらでも北欧らしさが入っているハズです。多分・・・わかんけど。そんな、あるか、ないか、わけわからんものを読み取ろうというのは表の理由で・・・。
で、もともと、そろそろ皆様はお気付きだとは思いますが、私は神話、伝説がえれー苦手です。キホン的に文学がニガテなんですけどね・・・。で、ぼちぼちやっては見ますが、途中で飽きてほったらかしになってもそれもご容赦願えれば幸いです。ややこしいのでドイツのものをシドレクス・サガと書いて、北欧のをシズレクス・サガと記していこうと思います。
ベルンのシズレクス・サガはその発祥が謎の作品で、聖職者が記したものかはたまた俗人が記したものかさえ判らないというものです。より可能性があるのは聖職者であろうとされています。そしてアイスランドの研究者は愛国心からかこの作品は13世紀にノルウェイにいたアイスランド人の作品に違いないと言っている。しかしこれを決定付けることは出来ない。書かれている言語が曖昧でアイスランド人の作品かノルウェイ人の作品が決定ができないのである。しかしながら問題が多いものの恐らくこの作品はノルウェイ人の聖職者によるものであろうと推測がされている。
このサガは1250年に時代付けがされるのが一般的であるが、より早い時期に存在すると指摘する学者もいる。そのことから1230〜1250年の間の作品であろうとされているのである。シズレクス・サガに関連しているゲルマンの作品の多くはおおよそ同じ時代に作られたものと思われ、ニーベルンゲンだけがそれ以前の作品(約50年前)であろうといわれている。そしてこのサガはハーコン(現代ノルウェイ語読みではホーコン)IV世(1217〜1263年)の統治時に書かれたものであろうとされている。これはいくつかの証拠に基づく。ハーコン王は中世の不穏な時期に統治し、ヤールのスクリと対立していた。結局、スクリは1240年に殺害されるのだが、その後20年間ヤールの影響のある者達の反感が膨れ上がる中、平穏を保つために尽力し、結局、彼は1262年にアイスランドを合併し、次の年にスコットランドに出兵していた時にその生涯を閉じるのである。
ノルウェイはハラルド美髪王が統一をなした後から北での確固たる地位を確立していた。ヴァイキング行き、外交、戦争と諸外国との接触も多かった。ハーコン王はフレドリク2世と接触を持ち、英国やフランスとも外交を持った。彼はそれらの宮廷や文化を参考にし、導入した。そしてフランスの作品の数々を自国語に訳すことを奨励したのである。Friar・ロバートという聖職者がハーコン王の宮廷におり、Tristrams sagaの訳者とみなされ、それ以外の作品も手がけたとされている。これらの翻訳作品は「騎士のサガ」(Riddarasögur)として後に知られるようになる。
シズレクス・サガに話を戻すと、これは重要な3種の写本に残されている。
1)Mb写本(ノルウェイの羊皮紙写本)13世紀後半<21章までと終わりが欠損>
2)A写本、B写本(アイスランド)恐らく14世紀のものを17世紀に写したもの
3)Sv写本(スウェーデン語に訳された版)14〜15世紀。
サガの主な部分は1)のものが使用され、その欠損部分を補うのが2)で、3)はノルウェイ版とアイスランド版が一致しない時に裏付けとして利用されるものです。
で、これ以外にも説明はえらいあるようなんですが、現状はこの程度でやめておきます。今後、追加していく予定(?)。しないかも・・・。
あくまでもこんなサガがありますという紹介で、いつもながらなんら学術的なもんじゃないんでよろしく〜。ちなみに、わけわからずに取り掛かっているので、えらいことになっているかもしれません・・・。
注・なおサガはいつもどおりで単なる私の作品です。検証とかされてもなぁ・・・
間違い、勘違いは間違いなくあります。そこんとこご容赦を〜個人のサイト〜