ヴァイキング時代の美術
ヴァイキング時代の美術様式は副葬品や木造建造物や石碑に彫られたもの、その他日用品で発掘されたもの等が残されており、以下の6つの主な様式がある。
ブロア・オーセベルグ様式
ヴァイキング時代始まりからのもので、鳥が多く、動物のモチーフが用いられている。2つの重要な発見物があり、一つは有名なオーセベルグ船葬の木製彫刻品、もう一つはゴトランド島のブロアのものである。ブロアのデザインは曲線の頭の大きな獣の図柄である。「握り獣」様式のデザイン。
ボッレ様式
「握り獣」様式と、「環鎖(リング・チェーン)」様式のデザインで、絡ませられたパターンのデザイン。イエリング様式とほぼ同時代のもので、同時にこの2つの様式の同じ品物が発見されることもある。この環鎖の様式はケルト様式で有名。
イェリング様式
これは世界文化遺産に指定されているデンマーク・イェリングのゴルム老王の塚から発見された銀製の杯にその名前が由来する。姿がS型に曲がったモチーフ。「絡み獣」様式というよりは、S型のモチーフが帯状になり装飾が施される。イギリスに移住した北欧人はこの様式をイギリスに持ち込んだ。ボッレ様式の環鎖様式以外はこの様式の方が好まれた。
マンネン様式
イェリング様式とマンネン様式の2つは区別しにくい。イェリング様式より動物の体つきががっしりしている。この様式は有名なデンマーク・マンネンから発見された銀糸が象嵌された戦斧から由来する。モチーフとなる動物の体のドットも特徴。
リンゲリーク様式
マンネン様式から派生した様式。ヴァイキング船の船首に取り付けられた風見が有名で、ノルウェイの一地方から名前が由来する。激しく絡み合った様式。聖ポールの敷地から発見された有名なドラゴン紋様のルーン石碑はこの様式である。ヴァイキングの英国への影響が伺える。
ウルネス様式
ヴァイキング時代における最後の様式。世界文化遺産のノルウェイのシュターブ式(支柱式)教会の彫刻が有名で、そこから名前が由来。リンゲリーク様式を洗練させたような意匠である。動物や蛇を細長くしてからませた模様。ウプランドの石碑の多くがこの様式である。
ヴァイキング時代以前の美術様式 | |
450-600年 | 移住時代様式、もしくは北海様式 |
600-700年 | 初期ヴェンデル様式、もしくは大陸様式 |
700-800年 | 後期ヴェンデル様式 |