「ルーン文字」と聞くと、大抵の人はゲームや占いで姿を現すルーン文字を想像すると思います。8文字3組のフレイ、ヘイムッダル、チュールのアッティルに分けて様々に解釈すると占いの本などではあります。実はこういったルーン文字の占いへの使用は半世紀ほどに始まり、現在のルーン占いはラルフ・ブラムにその起源を発するのだと思われます。今、流行しているルーン占いはほどんどこれをアレンジしたものではないのでしょうか。その点でラルフ・ブラムはすごい。
ルーンの書
ラルフ・ブラム著
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ラルフ・ブラムはこの本で研究の経歴が書かれ、この本の最後には参考文献がびっしりと書かれています。しかしやはり下記の R.I.PAGE 教授に先行する R.W.V.ELLIOTT 先生の RUENS AN INTRODUCTION の影がちらちらと見えます(というか、エリオットだけじゃん・・・な・・・)。確かにラル・フブラムはルーン文字を学術的にも研究したのではあろうとは思います。しかしながら、残念なことにずれと見落としが多々あるよう見受けられます。
このサイトではルーン文字を占いやオカルトでの方面ではなく、かつてヨーロッパ大陸で1000年以上人々に用いられた文字としての姿を取り上げております。ルーン文字について書かれたサイトは数多くあり、外国のものも含めるとその数は無限にあります。しかし、ルーン文字を深く勉強したいという場合、サイトで検索するよりは以下の本をまず購入して何度も読み返すことをお勧めします。まず学者先生の本を読み込むことが先決だと思います。
ルーン文字
大英博物館双書―失われた文字を読む
レイ・ページ (著), 菅原 邦城
単行本: 141 p 出版社:学芸書林
ISBN: 4875170173 ; 7 巻 (1996/04)
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この本は入門書として適したもので、著書は数多くのルーン文字の著書のある英国の R.I.PAGE 教授で訳者は言語学者でもある菅原 邦城大阪外国語大学教授で隙のない非常にすばらしい本であると私は大絶賛していたのですが、非常に一般ウケが悪い。「興味を引きにくい」「つまらない」という評をぽつぽつと聞きます。
確かに面白味にかける本ではあります。
うそです。
うそでしたー。
命がけの冗談やな・・・。
なぜ興味を引きにくいかというと、学術的なこと、なじみのないことを結論だけ述べているからです。敷居が高すぎる感があるのでとっつきにくいかもしれませんが、ルーン文字を知れば知るほど、ゲルマン諸語について勉強すればするほど、ヴァイキングやアングロサクソンについて知れば知るほどこの本のすごさが判ると思います。
とにかくまずは学者先生の本を読み込んでください。そうすると数多あるサイトを見た時に、そのサイトの本質を見抜くことができるようになります。参考にすべきサイト、そうでないサイトと瞬時に判断がつくようになります。
あ、しまった、私のサイトも見抜かれてしまう・・・。
ルーン文字学はおおよそ学問として確立したのは1870年代のデンマークの学者 L. Wimmer からで、19世紀、20世紀前半に S. Bugge、M. Olsen、C Marstrander、T. Grienberger、O. von Friesen、E. Brate、I. Lindquist、E. Wessén、W. Krausen、H. Arnts、L. Jacobsen、E. Moltke、H. Andersenらの学者陣によって大いに発展するのである。しかし現在は諸外国ではこれらの段階よりずっと進んだ専門的な研究が主で現在は入門書らしきものは手に入りにくく、この日本ではどこで学んだらいいかわからないような状態だと思われます。
じゃぁどうすればいいのか?
簡単な話です。あなたがもし大学生であれば、英語の先生はどこの大学にも所属しています。英語の先生はまず知っていますし、知識を持っています。そして大抵の大学図書館にはルーン文字の本が置いてあります。
もしあなたの所属する大学に語学部があり、英語学を教えているのであれば、まず英語学概論の先生の研究室を直撃するのです。間違いなくルーン文字について語ってくれます。確かな知識を与えてくれます。もし言語学の先生がいれば、そちらにも突撃するのです。きっと様々な文献を見せてもらえるはずです。
ルーン文字について知らない英語学概論の先生や言語学の先生を探すよりはツチノコを見つける方が簡単です。
まずは大学を利用してください。大学図書館を利用してください。確実な信頼の置ける知識が手に入ります。ということで基本的に大学生からの質問は受け付けません。大学の先生に質問してください。確実です。
サイトでの勉強はお勧めできません。なぜなら2次、3次、4次、5次・・・産物が多く、噂話的なものが多く、ダイジェストが多いためであります。情報量も少なすぎます。そして最新の論文はまずネットでは公開されないと思います。サイトでの情報収集は、まず学者先生の本を読み込んだ後がいいと思います。
サイトでゲルマン人を検索するとよく目に付くのがタキトゥスのゲルマーニアからの記述だと思います。老婆心ながら1文献に頼りすぎていると思います。実際、考古学上ではゲルマン諸部族の名称はまず出てきません。彼らは鉄器時代に生きた人々と書かれるにすぎないのです。なぜなら彼らを考古学的に立証することは非常に困難な作業となるからです。
しかしやはり日本においてはゲルマン人=タキトゥスのゲルマーニアという方式が成り立っていると思います。なぜかというとやはり日本からは情報が手に入れにくく、ゲルマン人について詳細が描かれた唯一の文献だからだと思います。しかしそれらはゲルマン人の研究ではなく、タキトゥスのゲルマーニアの研究であると思います。これらローマ人の書物からゲルマン人を再構築することは適切な手段であるのかどうか判断しかねます。
しかしながらゲルマン人を再構築できる手段があります。
それは言語です。
様々な言語研究、偉大な言語学者の尽力でゲルマン諸語が再構築されております。これらかつての言語は朧な存在のゲルマン人の輪郭をはっきりとさせます。まぁ、はっきりととは言いすぎかも知れませんが、輪郭作りはします。私は主に言語でゲルマン人を分類しておりますので、このサイトでゴート人とあれば、それはローマ人の記述した書物から再構築されたゴート族ではなく、ゴート語を話す人々、という定義になります。
そしてその再建の手助けとなるものが、ルーン碑文の数々となります。唯一(に近い)彼らが自らの手で残した言語の記録であります。そういった意味でもルーン文字学というのは非常に重要なものであることがおわかりいただけるかと思います。
このサイトでは上記 R.I.PAGE の「ルーン文字」を意図的に用いないで構成していきます。ルーン文字学概論は R.W.V.ELLIOTT の本を骨格に、PAGE の上記以外の本、MOLTKE、OLSEN、JANSEN他著名な学者先生の本などで肉付けしていきます。なぜかというと R.W.V.ELLIOTT の本は一般ウケが一番いいと思っているからです。写本のルーン文字については DEROLEZ のものを参考にしていきます。そしてスカンジナビアのルーン文字については ELLIOTT は弱いし、PAGE 先生もいいこといっぱい書いているのですが、やはり北欧の学者先生のものを骨格に PAGE 等で肉付けしていきます。アングロサクソンルーン文字については PAGE を骨格にしていきます。
なんでこんな半世紀前より古い書物を参考にするのか?と疑問に思われる方もおられるかもしれません。最近の研究者の本ももちろん見ています。しかしやはり上記先行する先生方の影響が多大にあります。それだったら大本のものを参考にしようかなっと思っただけです。最近の先生の本は手に入りますので、是非とも手にとってください。手に入りやすい BIRGIT SAWYER 先生はすばらしい本を書いていると思います。お勧めです。が、専門的な分野に入ってしまってちょっと私がしようとしているサイトの意図とはずれているかなぁというような感じで、PETER SAWYER 共々ヴァイキングの方で取りあげたいです。PETER SAWYER は大好きなのでちょいちょい言及していきたいですがルーン文字の方ではあまり取り上げないなぁ。スカンジナビアの碑文は Danmarks runeindskrifter, Sveriges runinskrifter, Norges innskrifter med de yngre runer に従います。地名、人名のカタカナ表記については上記邦訳「ルーン文字」に従います。
ちなみに特記すべきことが一番最後になりましたが、私は北欧諸語をはじめ、北欧文学、ルーン文字の専門家でも研究者でもなんでもなく、また学士でもありません。でも情熱は誰にも負けません(意味不明)。でもご安心あれ。私が如何わしくとも、参考にしている書物は錚々たる面々で私の御墨つきであります。(え?なんじゃそりゃ)
がんばれ!>ぢぶん
初心者からマニアまでカバーできたらうれしい・・・。え?先生?あ、勘弁してください。といいながらも大学の先生の大学のその先生のページにリンクが貼られているとかなーりうれしい。今まで3件発見したかな。やっとここまで登ってこれたかなっと・・・。
素人、素人とは言っていますが、目的は象牙の塔にこっそり石を投げること。
うそっ。
うそでしたー。
ほんま命がけの冗談や・・・。
(04/09/23)